cinema eye

『ハウルの動く城』

鑑賞日04/12/13(劇場)

 「千と千尋の神隠し」以来3年、宮崎駿監督話題の最新作。魔女の呪いで90才の老婆に変えられた少女ソフィーと、美青年魔法使いハウルの恋と冒険の物語。宮崎アニメには珍しく原作がありダイアナ・ウィン・ジョーンズの「魔法使いハウルと火の悪魔」を原作としたファンタジー。

 相変わらずアニメとしては驚嘆すべき映像のクオリティの高さ。ハウルの動く城が姿を現すファーストシーンだけで物語の世界に引き込まれる強さがあります。他にも随所に実に美しい絵があって、ジブリの技術はますます他を引き離しているんだなと感心します。

 ただ、ストーリーは少々難解というか、説明不足でわかりにくい気がします。大きな物語があるわけではないのに、無理やりいろいろなエピソードを詰め込んだ感があります。本当ならもっと丁寧にそれぞれのキャラクターを描きこんだ方がいいのにそこをダイジェストで飛ばしてしまった印象。

 声優では木村拓哉がポイント。イメージが強すぎる俳優だけに、声だけでも本人を強く意識してしまうところが評価の分かれるところでしょう。僕はあまり気になりませんでした。それよりも、少女を演じている倍賞千恵子の声の老け具合が気になりました。老婆になってからは違和感がなかっただけに、やはり10代を演じるのは無理があったのかと思います。

 またこれまでの宮崎作品に比べて「恋愛」が前に出てきているので、その分もたつく感じもします。大きなストーリーよりも、各エピソードを楽しむべき作品です。言い換えれば、宮崎作品としては「そこそこ」な作品かも知れません。


  今回の木戸銭…1200円