cinema eye

『ゴジラ』

鑑賞日98/8/20(劇場)
 『ゴジラ』をアメリカでリメークすると聞いた時に、一体誰が監督するのか大変興味がありました。で、ローランド・エメリッヒと聞いて大体想像はつくよな、と思いましたが、まさに予想通りのハチャメチャな『ゴジラ』でした。

 フランス領ポリネシアにおけるフランスの核実験で生まれたこのゴジラは、日本に敬意を表してまず日本の漁船を襲います。その後、ちゃんとお約束通り(?)ニューヨークに上陸するわけですが、日本産ゴジラが毎回台風の如く日本の太平洋岸に上陸するのもおかしなものですが、どうしてポリネシアからわざわざニューヨークくんだりまで遠征するのか、もうこの最初から疑問符の嵐です。その後の展開も「なんだよ、こりゃ」的ご都合主義のストーリーがずっと続き、最後にゴジラはあっさり米軍のミサイル攻撃で倒されてしまうのですが、映画全般に流れる滅茶苦茶さ加減、脳天気さ加減は、完全に『インディペンデンス・デイ』のノリです。強いぞ米軍、さすが地球最強だってなもんです。

 まあストーリーは監督が監督だけに期待はしていませんでしたが、映像的迫力は十分でした。ニューヨークの街を縦横無尽に走り跳び泳ぐゴジラ。もう作っている方が楽しくて楽しくてしょうがない、って感じです。またマシュー・ブロデリック、ジャン・レノら俳優陣は、大して好演もしていませんが、日本の怪獣映画に比べればマシな方でしょう。

 肝心のゴジラのキャラクターですが、これはやはりゴジラだと考えてはいけませんね。そもそもゴジラが軍隊のミサイルから逃げ回った挙げ句にやられていてはいけません。数発くらっただけで倒されるようでは、これは単なる巨大トカゲ。ゴジラに名誉毀損で訴えられても仕方ないほど、このアメリカ産ゴジラは弱いのです。まあ先ほども書いたように、アメリカでは米軍より強いものが存在していてはいけないんでしょう。軍隊に対する信頼度が日米で違うからこそ、日本のゴジラは堂々と自衛隊の攻撃を受け止めるし、アメリカのゴジラは敏捷に逃げ回るのです。

 以前エメリッヒの『スターゲイト』を見た時にも思いましたが、結局彼はパクリ映画しか作れない人なんでしょうか。『エイリアン2』と『ジュラシック・パーク』をミックスして、それに『アンカー・ウーマン』風味をまぶした映画『ゴジラ』。ベースがそもそもパクリなんですから、この映画にオリジナリティというものはほとんどないわけです。それでもエメリッヒは作る。ある意味、凄いことだと思います。本当のプロの商業映画監督なんでしょう。もっとも映画=娯楽派の僕としては、なんであれ面白ければOKだと思っていますから、決してエメリッヒは嫌いじゃありません。まあ毎回彼の映画を見るたびに同じことを言っていますけどね。

             

今回の木戸銭…1300円