cinema eye

『コラテラル・ダメージ』

鑑賞日02/10/22(ビデオ)

 この作品は、あの9.11テロの直後に公開予定されていて、内容が内容だけに公開が延期されてしまった映画です。確かに、奇妙に共通するところが多く、あの直後では遺族の気持ちを逆撫でしたり、なにか余計な意味を読みとられたりしかねないだけに、公開延期も仕方なかったかなと思います。

 ストーリーは、コロンビア解放軍ゲリラの爆弾テロによって、妻子を殺された消防士のアーノルド・シュワルツェネッガーが、政治的解決を図ろうとする国をあてにせず、単身コロンビアに乗り込みます。しかし、映画は単純にシュワちゃんのテロ犯に対する復讐劇には終わらず、コロンビア解放軍の論理とアメリカの論理がぶつかり合うことから生まれる悲劇を、描いています。

 もちろん、所詮はハリウッド映画ですから、アメリカを少々批判的に描いたところで限度はあるのですが、あの9.11の直後では、これくらいのニュアンスでも「非国民」だったかも知れません。なにせあの頃のアメリカは異常でしたからね。

 そういう社会的背景との絡みからの興味を除き、単純に映画として見た時には、相変わらずのシュワちゃん映画という趣です。本来なら頼りになるはずのCIAは常に後手後手に回り、シュワちゃん一人がスーパーマンの如く大活躍。派手なアクションと、子どもを軸にしたホロッとさせる人情味も少し加えて一丁上がりです。社会派というスパイスが今回はタイムリーになり過ぎてしまった、ということでしょう。

 シュワちゃん映画が好きな人には悪くない作品です。


  今回の木戸銭…1000円