cinema eye

『アメリカン・ビューティー』

鑑賞日01/5/3(ビデオ)
 アメリカの平均的な中流家庭の崩壊を描いてアカデミー賞5部門を受賞したシニカルなコメディ。斬新な映像感覚で見せていますが、内容はかなり辛辣で過激な作品です。

 ストーリーらしいストーリーはありません。父親役のケビン・スペイシーを中心に、母、一人娘がそれぞれ孤立していき、家庭がバラバラになっていく様子を丹念に描きます。コメディですが、あまり笑えません。爆笑ではなく苦笑であり、どちらかというと自分を振り返って困惑してしまうような作品です。

 最後は悲劇的なラストになりますが、ある意味、これで家族は救われるのかも、とも思うような気にさせます。それほど家庭は現代において息が詰まるような場所なのでしょうか。思い当たる節も多々ありますが、ここまで過剰に内面を抉られると僕にはちょっとヘビーな気もしました。

今回の木戸銭…1100円