cinema eye
鑑賞日02/5/26(ビデオ)
キューブリックの遺志を継いだスピルバーグが完成させた少年型ロボットの物語『A.I.』。話題作だっただけに、今さらストーリーを説明する必要はないと思いますが、どうこれを受け取っていいのかは難しいところです。
前半は近未来のロボット社会を描いた、まあよくあるストーリー。意思を持ち心を持ったロボットは、果たして本当にロボットを呼べるのか、それは人間と同じではないのか、という問いを発しているところも、どこかで見たことがあるようなメッセージです。
ただ似たようなテーマだからと言って悪いわけではなく、それなりに人間の根源を追い求めていく二人のロボットのロードムービーにもなっていて、決して悪くありません。
問題は、そこから一気に2000年時代をすっ飛んで、ロボットだけの社会になる後半。かなり無茶な展開になります。突っ込みどころは多いし、妙に観念的だし未消化な感じで、あまり見ていて納得も感情移入もできません。
最後に変な救いを持たせたこの映画のラストが良かったのか、それとも途中で海の底に閉じこめられたところで終わり、というストーリーが良かったのか。僕はジュード・ロウの“セックスロボット”が気に入っていただけに、彼のイメージを強く残したまま海の底で映画も終わってしまった方が良かったと思います。まさに「蛇足」という後半部分でした。
今回の木戸銭…1100円