2000/4/16:入社式での各社長コメント

1985−1999年のシェア推移


1985〜1999年の15年間のシェア推移をまとめた。アサヒの躍進はめざましいが、大きく3つの時期に分かれる。80年代後半のスーパードライ登場の時期、90年代前半の模索の時期、90年代後半のシェア伸長の時期である。そして今は第4番目の時期にさしかかっているが、どういう変化をみせるか。アサヒの「夕日時代」を知らない世代が社内に増えてくるなかで、どう意識改革を進めていくかに注目したい。キリンは長期低落が大きいがここ3年間は発泡酒への参入によりそれをかろうじて食い止めている状態。大手4社の中で潜在的な総合力は依然トップであり、リストラも一段落して再度よき時代を構築できるか。サッポロはみての通りの状態。今年は新社長の腕のみせどころ。これまでの様子から期待は持てそう。昨年もっとも目覚ましい動きをみせたのは4位のサントリーと言える。シェアもほぼ10%レベルに到達しており、得意のマーケティング力で地盤固めといったところか。2001年には初の黒字化を目指している。

99/04/18:入社式での各社長コメント

 

98/7/11:アサヒは甘い!!

アサヒビール社長 瀬戸雄三氏のコメント(日経98-7-9より)。低価格の売れ行きが好調で、アサヒビールも新規参入するとのうわさが絶えないが、瀬戸社長は「発泡酒は手掛けない。あくまで本物のビールで勝負する」ときっぱり否定する。「オリジナリティと個性がなければメーカーではない」が持論の瀬戸社長、キリンの発泡酒参入に対しても(ブームへの)便乗ではないか」と手厳しい。 ビールと発泡酒を合わせた市場にしめる発泡酒の比率は一時13%を超え、家庭にも浸透している。しかし瀬戸さんは「不況下、消費者の好みは結局、定番商品へ回帰する」と見る。

 ・・・先日の「今日の一言」にも書いたがアサヒの製品にはいずれも米、コーンスターチ等の副原料がつかわれている。あのスーパープレミアムにも同様の原料が使われているのはどうゆうことか?  そして発泡酒に対するアサヒのトップの上述のコメント。強がり、不安、単なる自信過剰とも受け取れる。最近のアサヒの状況をみると、とにかく98年は「ビール部門で年間トップの座を奪取する」ことばかりに気を取られているように感じる。社内のベクトルをシェア1位獲得に向ける政策は一応の評価はできるが、残念ながらその次が見えてこないのが非常に不安である。  もしも「本物のビール」を目指しているのなら麦芽とホップだけのビールも出してほしいし、発泡酒もいつでも出せるようにすべきだし、スーパードライばかりを押し付けていたら今に消費者は飽きてしまう。最近のビール投票結果からみても、必ずしもスーパードライの人気は高くなく、傾向的には一時の勢いが衰え、嗜好が多岐に広がってきているように受け取れる。今、確かにスーパードライは売れているが、それを単純に「消費者の好み」と受け取っていたのでは、アサヒは今後マーケティング戦略を大きく見誤ることになる。1消費者として警告します。

97/6/1:銘柄別出荷にみる各大手ビール会社の将来性

 4月から消費税が5%になったが、それに伴う3月の駆け込み需要期と4月の反動期の各ビール会社の出荷動向をみると、それぞれ各社各様で現在の会社事情がそのまま反映されており、さらには将来見通しも見えてくるのでおもしろい。

まずはキリンビール。今年1月は一時的に首位の座をアサヒビールに奪い取られたが2月以降はしっかり首位をキープ。まずは一安心と言いたいところだが、グラフをみてもわかるとおり4月の落ち込みが他社に比べて大きすぎる。96〜97年の出荷グラフをみても気がつくが、キリンは96ー12月に年末の駆け込みで出荷量を極端に増やした結果その反動が今年の1月の首位明け渡しとなったわけであり、出荷量の不安定さ、その場限りの営業戦略は将来への不安を感じる。銘柄別にみると主力はラガーと一番搾り。ラガーはこれまでの「おじさん臭い」イメージの払拭に懸命だがその効果がどこまで通じるかが今後の見物。4月にプレミアムビール「ビール職人」が登場。市場の反応は良好のよう。このHPでこれまでずっと「職人」さんを生かすべきと主張してきたが、キリンビールの方がこのHPを見られてはいないでしょうが、やっとそのことに気がついたのでしょうか。とにかく、技術はすばらしいものをお持ちなのですから、あとは営業がこれまでの殿様商売気質を捨てて頑張るかによるでしょう。

つづいてアサヒビール。1月に首位を奪取したときは、マスコミに大きく取り上げられ1月のビール需要低迷期を狙って首位を奪ったとかいろいろ憶測がながれたが、その前後の出荷量をみても堅調に推移しており私はあの1月事件は、むしろ「キリンビール」の出荷が落ちたためと考えている。それだけアサヒビールの出荷は安定しており、3月から4月にかけても消費税の反動も少なく順調に推移していることがわかる。ただ、危険なのは今は「スーパードライ」だけで持っているということである。グラフが示すとおり、出荷量のほとんどがスーパードライであり、一時ブームとなった「黒生」や新発売の「REDS」、女性をターゲットにした「First Lady」などことごとく低迷している。それだけ今のアサヒの戦略がスーパードライに偏っているためと予想するが、それほど消費者も一途ではないわけで一応スーパードライは一つの時代を築いたと言えるが今後アサヒが飛躍を狙うとすれば新しいビールの提案が必要であろう。

サッポロビールは、他の3社に比べるとバランスは良いように感じる。社名の通り北海道では半分近いシェアを維持している。グラフから分かる通り3月から4月にかけては他社と違って出荷量が増えている。エビスビールやリニューアルした黒ラベルや北海道が堅調である。サッポロビールの味は黒ラベル、エビスビールなど他社に比べ平均点は高い。以前各社のビールを複数の人間(酒飲みからほとんど飲めない人まで揃っていた)で飲み比べたところ一番おいしいという結論に到ったのは「エビスビール」だった。また発泡酒に分類される「ドラフティ」はサントリーの「スーパーホップス」と共に調子は上向きのようである。では、なぜ3位に低迷し、それほど目立たないのか。それは「三井系」の会社独特ののんびりした社風のためである。せっかくおいしいビールを持っていながらどうも「戦略」というものが見えてこない会社である。ただ個人的な見解を言わせてもらえれば、今年はサッポロに注目したい。キリンビールのごたごた状態、アサヒビールのスーパードライ一辺倒の状況から、漁夫の利じゃないけれど第3位のサッポロビールが飛躍する大きなチャンスと考える。ただ、もしこの1年でサッポロビールが変わらなかったら、永遠に3位になるだろう。

サントリーは、上記3社とは若干ビールに関する取り組みが異なる。もともとサントリーの前身の寿屋は戦前にビールを製造していたが、戦後中断。ウィスキーの成功を機に昭和38年に製造販売開始。他社と異なりサントリーは、デンマークから技術導入を行った。一時期はサントリーらしい宣伝で話題となったこともあったが、大手3社の牙城は崩せず長期低迷状態。毎年100億近い赤字を計上している状態である。サントリーのビールは「薄くてまずい」というのがもっぱらの評判である。しかし初めて麦芽100%ビールとして登場した「モルツ」はうまかった。ところがこのモルツを1992年に味、ラベルとも一新。30代をターゲットにした戦略に切り替えた。私はこれは失敗だと思う。なんといっても味は落ちた。CMを見ても今一つ何が言いたいのか見えてこない。スタジャンだけが印象に残る。唯一の功績は「発泡酒」を一つの分野として確立したことか。ビールではない「スーパーホップス」は増産増産状態。結局、サントリーはウィスキーで持っているわけで、そのブランド名は高い。社員の給料も高い(らしい)。ビール事業はサントリーが積極的に行っている文化事業的存在のようにうつる(ここまで書いたらサントリーの人は怒るかな)。社員にも覇気が感じられない状態という。今の状態ならビール事業を止めて、阪神タイガースを買収してサントリータイガースをつくり、甲子園か大阪ドームでサントリー生産の地ビールをやった方が儲かりまっせ! ところで京都限定の「千都」はなかなかサントリーらしくなくておいしい。

・・・以下ぼちぼち登場

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