幹事クリタのコーカイ日誌2014

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6月5日 ● 配偶者控除の廃止は順番が逆。

 僕がかなり前から言ってたことで「専業主婦の時代は終わる」というのがあります。かれこれ20年くらい前、男女雇用機会均等法こそできていましたが、まだ世の中の女性たちが「寿退社」とか「永久就職」とかを当然のように考えていた時代です。当時すでに少子高齢化になることはわかっていたのですから、男が働くだけでは高齢者の福祉は支えられないし、そうなると若者の賃金は上がらないし、当然夫の給料だけでは満足に暮らせなくなるんだから、専業主婦も珍しい存在になると周りの女性に言ってました。こんなことは僕だけではなく誰だってわかっていたことですが、言われている方は「そんな先のことなんか自分には関係ない」とみんな専業主婦になっていきました。そりゃまあそうです。

 1990年代後半、バブルは崩壊していましたが、まだ日本のサラリーマンはこの不況が終わればまた右肩上がりの成長が始まり、給料もアップしていくんだと大半の人は信じていました。当時僕たちのテニスサークルもほとんどがまだ20代半ばから30代の独身男女で、合宿などに行くと結婚についての話もしていましたが、女性はほとんど専業主婦志向であり、実際それからミレニアムくらいまでの数年の間にみんな結婚していきましたが、仕事を続けた女性はほぼ皆無でした。

 当時トヨタグループの某大手企業に勤務している28歳男性Aくんが酔っ払って「年収420万円です」とカミングアウトしたら、女性陣が「それじゃあ結婚できないよぉ!」「トヨタ系ってそんなに安いの!?」と悲鳴を上げていたのを思い出します。女性陣は大手金融に勤務している人たちだったので、同じ会社の男性社員はもっとはるかに貰っていたし、本人たちも多分彼と同じくらいの年収があったのでしょう。専業主婦志向の彼女たちにしたら、自分と年収が同レベルの男性と結婚なんて考えられないと思ったに違いありません。Aくんは身長が高く見た目も爽やかで性格も優しいスポーツマンだっただけに、収入だけで非難されるとは可哀想にと思ったのを覚えています。

 そうは言っても、当時はまだ年功序列終身雇用が当たり前の時代。当然Aくんも年をおうごとに給料も上がっていき、すぐに年収が600万にも800万にもなったことでしょう。今はもう40代半ばですから1000万円前後にまでなっているかも知れません。いまトヨタさんは業績絶好調ですし。そう考えると、なんだかんだ言っても、まだまだ90年代は若者にとって幸せな時代でした。

 先日ネットで見かけた「女子大の就活説明会wwwwwwwwwwwwwwww」というページ。年収600万円以上の独身男性は今や25人に1人、400万円以上でさえも4人に1人というデータが紹介されています。いまどき稼ぎがいい独身男性など滅多にいないのだから、「白馬の王子様」が現れるのを夢想していないで現実的に考えてしっかり自分で稼げるように就職しようということですが、僕の当時の予想以上に日本は低成長し、すっかり専業主婦は「夢の生活」へと変わってしまいました。今ならAくんモテモテです。

 たかだか20年です。その間にすっかり日本の若者は将来に対して希望を失ってしまいました。専業主婦になれないことは仕方ないし、ならなくても良いと思います。ただその代わりに女性が子育てや介護をしながら働ける社会環境が整っているかというと、まだまだ全然足りていないのは明らかです。いま配偶者控除を廃止し、103万円の壁を取っ払うことで女性が社会進出できるようにする、なんて政府は言っていますが、これは順番が逆です。まず不足している保育所を解消し、介護負担の軽減、産休や育休、低賃金労働の改善など働ける環境をきちんと整えてから控除を廃止するのが筋でしょう。満足に働けないのに控除だけ廃止されても、それは単なる増税であり専業主婦いじめに過ぎません。


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