幹事クリタのコーカイ日誌2014

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2月1日 ● 博士の何を知りたいのか。

 僕は根っから文系の人間ですが別に科学系の話を「わからない」と頭から拒絶する気はありません。高校生の頃にはブルーバックスも読んでいましたし、小学生のころは天文少年でした。文学部に進んだのはよりそちらの方が好きだったというだけです。文系でもそういう人はいくらでもいます。科学の話は人をワクワクさせるからです。

 ところがどうも世の中には科学系の話を「難しい」「素人にはわからない」と決めつけてしまう人もいるようで、それをもっとも信じ込んでいるのが実は日本の大手メディアではないかと思っています。過去のノーベル賞受賞者の報道などで再三それは感じていました。

 今回、理化学研究所の小保方博士のチームが発表したSTAP細胞の製作方法発見のニュースにおいて、大手メディアの報道の仕方がいかにも偏っていて、あたかも小保方博士も受け手である我々もともにメディアからバカにされているのではないかと思ってしまいます。「『お風呂のときもデートでも四六時中、研究のことを考えていた』という研究の虫」「研究室の壁はピンクや黄色で、好きなムーミンのキャラクターシールも貼っている」「仕事着は白衣ではなく、大学院時代に祖母からもらったかっぽう着。『これを着ると家族に応援してもらっているように感じる』」「研究室にはペットのスッポン。『この子が来てから実験が軌道に乗ったので、幸運の亀なんです』と笑顔を見せた」など。そんなことは聞き出さなくても良いし、聞いても取り上げなくてもいいのです。

 どうでも良い、しかしある方向に向いた個人情報を前面に押し出して、この素晴らしい発見をした研究者をどこにでもいる普通のOLか主婦のようにイメージづけしようとしています。優秀な研究者と言えども「わかりやすい可愛い女」の枠に押し込めないと気が済まないように感じます。そんなことにスペースを割くくらいなら、なぜもっと今回の発見が優れているのか、どこが画期的な部分で、どういう医学的貢献があるのか、考えられるベネフィットとリスクは何なのかということを詳しく報じないのでしょう?本来報道されるべき価値はそこにしかないはずです。

 ネットではすでにこうしたマスコミの報道姿勢に批判が起こっています。僕もこれは女性差別であり、研究成果に対する冒涜であり、読者・視聴者への侮辱だと思います。もし記事の内容が冒頭に書いたように専門的で難解で受け手に理解できないだろうと考えているなら、それをいかに噛み砕いてわかりやすく説明することに全力を注ぐべきであり、割烹着やスッポンの話を載せれば受け手が喜ぶなどと考えているのは、愚かな上に送り手の職務怠慢だと思うのですが。

 追記:小保方博士から過剰報道を控えてほしい要望が出されました。→「報道関係者の皆様へのお願い」


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