幹事クリタのコーカイ日誌2007

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12月4日 ● この野球で金メダルが獲れるか。

 北京五輪出場をかけた台湾戦、前半は重苦しい展開でダルビッシュが逆転ホームランを打たれたあたりは「マジでやばくね?」という雰囲気だったのですが、あのサブローのスクイズから一気にイケイケムードに変わりました。打線がつながり、藤川から上原と豪華リレーで締めて見事に3連勝。サッカー、ホッケー、ソフトボールに続く団体競技での五輪出場を決めました。

 ただ野球の場合、目標は五輪に出ることではなく五輪で勝つこと。過去に最初に五輪で野球が公開競技として行われたロスで金メダルを取ったものの、それ以降は一度も金メダルを獲得していません。常に強敵キューバの後塵を拝し、時には韓国やオーストラリアにも苦汁を飲まされてきました。

 今回の予選の戦いぶりを見ていると、正直なところ来年の北京での金メダルを期待することはかなり難しいのではないかと思ってしまいました。もちろん、強敵韓国にも競り勝ったことですし、メダル圏内にはいけると思います。ただ金メダルとなるとどうでしょう?

 一応投手陣は相当のレベルにあることは確かです。若く元気な先発陣に経験豊富なクローザーが複数いて、誰かが調子が悪くてもカバーできるだけの質量が揃っています。問題は攻撃陣。西岡、青木、川崎、荒木ら足で掻き回す選手はいますし、新井、阿部、村田、稲葉ら勝負強い主軸もいます。ただ、一人で試合をひっくり返せるようなオーラのある長距離砲が見当たりません。昔なら王や長島、落合、最近では清原。顔で相手を震え上がらせるような選手がいないので、仕方なく点を取るには足の速いバッターが出塁して、バントでランナーを進めてタイムリーを放つ(時にはスクイズ)というスタイルに拘らざるを得ませんでした。

 もちろんそうした「スモールベースボール」こそが日本のお家芸ではありますが、アジアレベルでは互角に戦えても、パワーが桁違いのキューバやアメリカなどと対戦した時に、この野球で本当に勝ち進めるのか、甚だ心配です。苦労して取った1点をパカーンと打たれて一発逆転、という展開が今から目に浮かびます。いくら駒の揃った投手陣でも完封はそうそうできるものではありません。まして本格派で真っ向勝負の若い投手陣はパワーあふれるキューバやアメリカのホームラン攻勢を浴びる可能性も高いのです。

 例えばサブロー、青木、稲葉の外野陣が松井秀、イチロー、福留の外野陣に入れ替わったらどれほど迫力が出ることか。城島、井口、松井稼のセンターラインも魅力的です。松坂、黒田ら投手陣も含めて、日本野球の顔になるべき選手がみなメジャーに流出してしまい五輪に出られないのがつくづく残念です。せめて五輪期間中くらい日米の野球を中断してくれないでしょうかね。もっとも、それでアメリカが本気で「ドリームチーム」を組んできたら、やっぱり金メダルは獲れないんですけど。