幹事クリタのコーカイ日誌2006

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1月26日 ● 負けてもヒンギス。

 全豪オープンテニスもいよいよ佳境に入ってきました。と言っても男子は恐らくフェデラーとナルバンディアンの決勝になることでしょう。これは昨年末のマスターズカップの再現であり、この時はナルバンディアンがマッチポイントを握られながらもそこからフェデラーに逆転勝ちするという大金星を挙げたわけですが、それだけに今回はフェデラーも雪辱に燃えているでしょうから、彼の優勝確率80%と僕は予想します。

 女子は実力者が極めて順当に勝ち上がりました。エナン、シャラポワ、モーレスモ、クライシュテルスの4人は誰が勝ってもおかしくありません。熾烈な優勝争いになると思いますが、実は今大会の主役は彼女たちではありません。何と言っても3年ぶりに復活したヒンギスでした。

 昨年末にヒンギスがツアーに復帰宣言をした時に、多くのファンもメディアも半信半疑でした。かつての女王が今さら何が目的で過酷なツアーに戻ってくるのか、戻ったところで3年間の間に大きく進化した女子ツアーに果たして対応できるのか、名声を汚すような復帰ならしない方が良いのではないかという声が多かったと思います。

 前哨戦でも決して目を見張るような成績を残したわけではなく、シドニーの大会ではエナンに完敗を喫してしまいました。全豪ではせいぜい2回戦か3回戦止まりではないかと言うのが大方の予想だったと思います。

 しかしヒンギスはやはり天才でした。相変わらず切れの良いバックハンド、速くてクレバーな展開、見事なタッチのネットプレー、そして必殺のドロップショット。今のツアーでは誰も真似できないような武器を携えて、格下の選手たちを相手にまるでテニスを教えるかのように易々とゲームを制して順調に勝ち上がっていきました。

 そして準々決勝。相手は優勝候補筆頭のクライシュテルス。この試合がヒンギス復帰の試金石でした。もしここで惨敗を喫するようなら、やはりツアートップクラスの選手たちには通用しないと考えられます。復帰途上とは言え、勝てないまでも接戦に持ち込まないとヒンギスの今後の展望は開けません。

 結果は3-6、6-2、4-6でヒンギスの敗退。でも負けはしましたが内容は充実していて得るものが多かった試合でした。結果が示すように、現時点ですでにヒンギスのテニスは十分にトップ選手たちと戦えるものでした。そして、今はまだフィジカル面で不安はあるものの、これから調整を重ねていくにつれて、もっとパフォーマンスを向上させることができるだろうという手ごたえがあったと思います。

 今の女子ツアーはかつてないほどの戦国時代です。トップ集団にダベンポート、クライシュテルス、エナン、シャラポワ、モーレスモ。さらに若干遅れてヴィーナス&セレナのウィリアムズ姉妹、その後ろにもペトロワ、ミスキナ、クズネツォワ、ディメンティエバのロシア勢やベテランのピアース、デシー、シュニーダー、若手のヴァイディソバら実に多くのタレントがひしめき合っています。

 しかし、ここに割って入ろうとするヒンギスは、単に昔の女王というだけではなく、これらの選手の誰にも似ていないオリジナリティを持つ個性的なテクニシャンです。後は同じようにテクニシャンと言えども、フェデラーのようにチャンピオンになれるのか、グロージャンのようにファンを沸かしはするけれどもベスト8止まりで終わるのか。それは今後のヒンギスを見てみないとわかりませんが、とりあえず復帰第一歩は上々の滑り出しだったと思います。

 今大会後にヒンギスはシャラポワやダベンポートとともに日本にやってくる予定です。今回は実現しなかったヒンギスvsシャラポワの夢の対決が有明の森で実現したら世界中から注目を集めることでしょう。今から楽しみです。


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