幹事クリタのコーカイ日誌2003

[ 前日翌日最新今月 ]


 
10月26日 ● 視聴率至上主義。

 日本テレビのプロデューサーが、視聴率調査世帯を調べて買収していたという事件には半分びっくり、半分やっぱりでした。

 テレビの広告料金というのは、基本的に視聴率で決まります。CMをオンエアする時には、総視聴率(GRP)で計算して発注します。例えば3000GRP(CMを流した時間帯の視聴率の合計が3000%ということ)流したい、と考えると、視聴率20%の番組に流せば150本ですが、視聴率5%の番組なら600本流さなければ3000GRPになりません。テレビというのは時間を切り売りしているメディアですから、少ない本数で同じ金額を稼げればとても効率が良いわけです。かなり単純化していますが、図式としては視聴率が4倍なら、売り上げも4倍になるわけですからね。

 テレビ・広告業界に関係のない人にしてみれば、視聴率なんて単なる人気ランキングみたいなもので、そんな数字にどれほどの意味もありません。しかし、テレビ局にとっては、経営を左右する極めて重要な数字であり、勢い番組制作者も視聴率の上がり下がりに一喜一憂することになるのです。

 ところがご存知のように視聴率の調査世帯というのは一般的な感覚では驚くほど少なく、首都圏で600世帯、中京圏ならわずか250世帯で調べているだけです。今回日本テレビのプロデューサーが買収できたのは4世帯0.67%分だそうですが、仮に1世帯当たり半年間10万円で60世帯を買収しても費用は600万円。それで視聴率が10%上がったら、十分に広告料金でペイできてしまいます。

 もちろん、それはゴルフの時にラフやバンカーから手で投げるようなもので、それをやったらお終いなわけですが、人間追い詰められると何をするかわかったものではありません。今回はこのプロデューサーが興信所を使って個人的に買収を図ったようですが、もしビデオリサーチ社内に協力者がいたら、もっと簡単かつ確実に視聴率を操作できてしまいます。

 テレビ業界にとっては信用を失墜させる大変な不祥事ではありますが、これを機会に視聴率至上主義(つまり売上げ至上主義)からテレビ局が脱して、よりクォリティを求めるような志の高さが生まれれば良いのですが。少なくともそういう空気が局内にあれば、こんな掟破りのインチキをしようと誰も考えないのではと思いますけどね。 それと、ビデオリサーチももう少し精度の高い視聴率(もしくは広告効果)調査方法を考えなけれならない時期にきているのかも。


とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。